水晶の双晶形式について3  On the twin laws of Quartz with brief history 

 

水晶の双晶形式について(1)  その2 の続き。

鉱物学にいう双晶(英 twin, 独 Zwilling)は、元来、人の双子(双生児:ツイン)をイメージした用語である。双子は母親のお腹から同じ時に相次いで生まれた子で、子供の頃も成人した後もそっくりの姿形をしていることが多い。新村「広辞苑」(1979版)を引くと、「一卵性と二卵性とあり、後者は同性のことも異性のこともあるが、前者は必ず同性。」とある。

そこで双晶は、二つの同じ姿形の結晶(個体)が相並んで生じているもの、同じ時に(結晶核が)発生して、同じだけの時をかけて成長したものが原イメージと言える。ただ人間の双子は普通、独立した別々の体を持って生まれてくるが、鉱物の場合は二つの個体がくっついている(あるいは連れ合っている)場合に限って双晶と呼ぶ。
言い換えると、一つの始原双晶核の存在が前提として仮定され、その核からバランスのとれた同時的成長を経て、相似た個体同士が幾何学的な関係で繋がって見えるものを呼んだのが始まりと言えよう。例えば、母親の胎内に擬う晶洞中に、複数の結晶核が同時に生じて(と仮定して)、個体として同じ姿形に成長して独立に並んでいたとしても双晶とは呼ばれない。

こうした原イメージからすると、大きさや姿形の著しく異なる二つの個体が結晶構造上の双晶関係で接合していても、双晶と呼べないとする考え方には一理ある。一つの大きな個体の表面に、別の個体が二次的に配向的に付着したものも然りだろう。cf. No.1007 補記1
一方、水晶の双晶として普遍的なのは共軸式(ブラジル式やドフィーネ式)だが、このホモ・タイプは形態的にほぼ単結晶と変わらず、まるで双子には見えない。ヘテロ・タイプである傾軸式でも、トの字形鳥形三連などの不均衡な形態のものはやはり原イメージから外れる。しかしこれらを双晶でないと主張する結晶学者は今日まずいないだろう。
双晶の定義も時代とともに変化する。X線の発見以来、結晶の構造や対称性が原子レベルで理解出来るようになったし、また双晶パターンは目に見えないレベルの微小領域にでも普通に(繰り返し)存在することが知られるようになった。双晶は必ずしも視覚的に明瞭な形態を伴わない場合にも適合する概念となっているのだ。cf. No.1005(双晶の定義)

水晶に対掌性(右手型と左手型と)があることは 19世紀から知られていた。二者がくっついた双晶形態は、真の意味での双晶かどうか、ある時期には真剣な議論があった。古典結晶学の系譜は、古く N.ステノ、ロメ・ド・リール、R-J.アユイ、C.S.ワイスらの先駆的研究を経て、20世紀初前後に高潮期を迎えた。V.ゴールドシュミット(1853-1933)は当時の代表的な学者の一人だったが、双晶の定義に一家言を掲げ、対掌個体の接合についても繰り返し論じた。この問題はしかし、今日的には特段、結論を与える必要のないトピックのようだ。
ちなみに市井の甘茶の目からすると、傾軸式の双晶は右手型同士(or 左手型同士)であろうと、右手−左手型であろうと、原イメージに照らして双晶以外のなにものでもない。冒頭、広辞苑に引いたように、違いは一卵性か二卵性か(同性か異性か)の範疇に留まっている。

◆さて、双晶の種類の話に戻ろう。
V.ゴールドシュミットは 1898年に発表した「双晶の定義について」(Über Definition eines Zwillings)で、上述の原イメージも含めて定義を示し、具体例として水晶の「一般に双晶と呼ばれる3種類の規則的な癒着」を論じた。 この3種は Dana の鉱物体系 6th(1892)に図版で紹介された(理想)形状である。

J.D.Danaの名を冠した The System of Mineralogy 6th (1892) より
図9, 10 はお馴染みの例の理想図

第一種は主軸を同じくする左右対掌性の個体同士の癒着で、今日いうブラジル式(図10)。
第二種は主軸を同じくする同掌型の個体同士の 60°回転した配置での癒着で、今日いうドフィーネ式(図9,19,20)。
そして第三種は今日いうξ面を双晶面とする傾軸式-ガルデット式(日本式)(図11,12)。
この時期のゴールドシュミットは、1と2とは明らかに「双晶」の定義から外れており(根拠は私にはよく理解出来ないが)、3は留保条件付きだが「双晶」と呼べると考えた。

彼はその後も研究を重ねて、「水晶の双晶形式について」(Über die Zwillingsgesetze des Quarz: 1905年)で、より洗練された表現で定義を述べた。この論文で言及された双晶形式は No.938で触れたが、再掲すると、

T:双晶の主軸(c軸)が平行なもの…今日いうブラジル式{A.a)右手型+左手型}、
  及びドフィーネ式{B.b)右手型+右手型、 c) 左手型+左手型、 d)右手型+左手型}
  の2種(4タイプ)。

U:双晶の主軸(c軸)が傾いているもの…次の3種
      C: 日本式(C.S.ワイス式)
      D: ライヘンシュタイン-グリーゼルンタール式
      E: サルジニア式 
である。

その1で紹介したデクロワゾーの記述や、その2で紹介したイェンシュの記述と比較すると明らかだが、Cの形式は従来ガルデット式、ワイス式などと呼称されてきたものだ。それを当時日本産が欧州標本市場によく流れていたという理由で日本式と呼んだ(ガルデット式もよく流れていたはずだが)。
Dの形式は従来ライヘンシュタイン式と呼ばれたもので、これも名称を変えた。
Eの形式は半世紀前のセッラの報告(1856年)以来、事例がなかったが、確実とみたようだ。ただし、DとEとが極めて珍しい形式であることは繰り返し断っている(Dの事例はローゼとゴールドシュミットの計2件、Eはセッラの1件のみ)。C,D,Eの名称は以降ほぼ定着した観がある。
一方、イェンシュが示したチンワルド式とツヴィッカウ式については、偶然の産物(普通の癒着)であるかに扱って、U種に含めなかった。
とはいえ、ほどなくゴールドシュミットはブライトハウプト式あるいはツヴィッカウ式に似た形式の双晶標本を調べる機会を持ち、新たな傾軸角度を割り出した。彼はこれをツヴィッカウ式と考えて、その実在を信じた。
1908年の「水晶について」( Über Quarz )では、V.ヘテロ・ツインのグループを設けて、
F. ツヴィッカウ式(イェンシュ)
G.チンワルド式(イェンシュ)
を記載する。ついでに言うと、 U. Dを R-ツイン(菱面体面を双晶面とするもの)と呼び、(i) グリーゼルンタール・タイプと (ii) ライヘンシュタイン・タイプとに分けた。

F. G. の両者は、数年後に F.シンデルがスイス産に複数の事例を報告する(下図)。
シンデルはまた、ゴールドシュミットがツヴィッカウ式とみた(傾軸角度がやや異なる)例を、新しい一形式と判断してゴールドシュミット式と呼んだ。

◆V.ゴールドシュミットは実例(標本)報告に拠って双晶形式を示すに留まったが、一方で数学的な対称操作に拠って、実例がなくても可能性のある新しい形式を示唆した結晶学者(数学者)たちがあった。
フランスのジョルジュ・フリーデル(Georges Friedel:1865-1933)はその一人である。パリ鉱山学校のマラールの下で鉱物学を学び、サン・エチエンヌの鉱山学校で教鞭をとった。一次大戦後はストラスブールに移った。研究領域は多岐に渉るが、さまざまな物質を人工合成するなかで、双晶について豊かな知見を持った。ゴールドシュミットの双晶定義を踏まえつつ、いくつかの新しい形式を予測した。そのうち、(2021)を双晶面とする傾軸式、及び (2131)を双晶面とする傾軸式とは、後に高温水晶で実例が報告された。
またガルデット式(日本式)に似た傾軸 90度の双晶を合成水晶に見出して報告した。ゴールドシュミットは否定したが、シンデルは有効と考え、「フリーデルの直交式」と呼んだ。天然水晶にも事例を報告した。
ちなみにフリーデルは 600℃の雰囲気中で水晶に生じた食像を研究して、高温水晶が六方晶系であることを推論している(1902年)。

 

F.シンデル "Quarzzwilling nach dem Zinnwalder Gesetze
von Crapteig (Viamala), Graubiinden"(1912)より
 「チンワルド式双晶」の標本画
(グラウビュンデン、Crapteig産
標本商リゴッシから得た標本)
一方の個体(T)の柱面と、他方(U)の
錐面とが平行になるタイプ
Tのサイズ 5.3x2.5cm
TとUとは等大でない。

◆フォルチュナート・シンデル(ツィンデル)(Fortunat Zyndel: 1882-1917)はスイスの地質・鉱物学者である。1910年代(一次大戦前)には主にバーゼルの高校で教鞭をとる傍ら、バーゼル大学で物理学、数学、鉱物学などの研究をしていた。1909年に水晶の新しい双晶形式と円偏光に関する懸賞論文に応募し、ピエモンテ地方ブルッソン産の日本式(ガルデット式)双晶について論じた。以来研究を進めて、この分野の当代きっての専門家と目されるようになる。
V.ゴールドシュミットと頻繁に交信し、彼のいるハイデルベルクに来て活動することを勧められたが、バーゼルに留まった。ベルギーの J.ドラグマン(後に高温石英のさまざまな双晶形式を報告する)ら、多くの研究者とも接触を持った。
1912年に発表した「水晶の傾軸式(主軸非平行式)双晶について」(Über Quarzzwillinge mit nichtparallelen Hauptachsen)で博士号を得た。彼の一連の報告は一般の鉱物書籍では無視されがちな日本式以外のさまざまな傾軸形式に言及しており、ゴールドシュミットの言う「規則的な癒着」(に過ぎないもの)が、実際に結晶構造上の配向に従う双晶であることを、多くの実例を総合的に提示することで立証する意図があった(日本式以外の形式が実例/発生確率に乏しいものであることを認めつつも)。また可能性のある(実例未報告の)形式もいくつか指摘した。

1912年の報告でシンデルは傾軸式双晶に 12の形式を数え、そのうち 11について実例/報告を見出していた(検討中の 12番目はゼードルフU式)。
1913年4月付の報告では 3つの仮説式を含む 16形式を挙げ、次の 4グループに分類した。

I. 両個体の特定の柱面同士が平行になるグループ (Deckung von b2 mit b2’)
 1. ツビッカウ式 (G.イエンシュ)
 2. ゴールドシュミット式 (V.ゴールドシュミット)
 3. ブライトハウプト式 (A.ブライトハウプト)  (2と 3とは二重に働いてひとつの傾軸式をなすとシンデルは考えた)
 4. 日本式 (C.S.ワイス)
 5. フリーデルの直交式 (G.フリーデル)

II. 両個体の特定の錐面同士が平行になるグループ (Deckung von r2 mi r2’)
 6. 仮説A(エー)式 (後のシンデルA式) (F.シンデル)
 7. サルジニア式 (Q.セッラ)
 8. 仮説 ��()(アー)式 (F.シンデル)
 9. ライヘンシュタイン・グリーゼルンタール式 (G.ローゼ、V.ゴールドシュミット)

III. 一方の個体の特定の錐面と他方の特定の柱面同士が平行になるグループ (Deckung von b2 mit r2’)
 10. チンワルド式 (G.イエンシュ) 
 11. ゼードルフ T式 (F.シンデル)
 12. ディゼンティス式 (F.シンデル)
 13. レッチェンタール式 (F.シンデル)
 14 . L式(後のシンデル L式) (F.シンデル)
 15. ゼードルフU式 (F.シンデル)


IV. 一方の個体の晶帯(ゾーン)が、他方の異なる晶帯に対応するグループ (Deckung von Zonen mit Flächen b, r, ρ mit Zonen ohne diese Flächen)
 16. 仮説R式 (F.シンデル)

以上の 16形式のうち 8つ (1、2、3、4、5、7、9、10)は シンデル以前に確認されていたもので、他の 5つ (11、12、13、14、15)はシンデルが検討し実例を発見したものである。彼はまたこの時点で 3つ (6、8、16)の仮説式を提示した。すなわち半数にあたる 8式を新たに加えたわけだ(青字で標識)。
グループT〜Vは、一方の個体の晶帯(平行面群) b, r, ρが他方の同じ晶帯に呼応することで、結晶学的に双晶と確認出来るもの。シンデルはこの他に、一方の晶帯 b, r, ρが他方の異なる晶帯に呼応するタイプの可能性を想定し、仮説的にグループW(仮説R式)を設けた。
グループV中の、ゼードルフ、ディゼンティス、レッチェンタールの名称はスイスの地名で、これら産地の標本数千個を調査する中で、それぞれの実例を発見したのだった。

ゼードルフ I は 1910年にシンデルが予測した 3形式の一つで、1912年までにウリ県ゼードルフ産によって確認された。1913年にはゼードルフUの確認もとれていたようだ。
シンデルL式もまたゼードルフ産から確認された(等大でない)。
ディゼンティス式は、シンデルがチンワルド式を確認したディゼンティス産標本に一緒に含まれていた新形式。チンワルド式に似て非なるもの。
レッチェンタール式は、最初の実例を Solothurner 博物館収蔵のレッチェンタール産標本に帰す。シンデルはゼードルフ産の標本 3ケにもこの式を見出した(等大でない)。

1913年の報告の後もシンデルには双晶の研究を続ける望みがあった。例えば日本式双晶では接合境界付近に内部結晶構造の異常があることを観察しており、その研究を深めることで配向的な癒着の機構が明らかに出来ると期待していた。が、一次大戦が起こった。1917年2月に英国汽船ラコニア号でニューヨークからリバプールに向かったシンデルは、アイルランド沖でドイツ潜水艦の攻撃を受けたラコニア号と共に消息を絶った。

 

まとめ

◆フロンデルがDana 7th (1963)で総括的に示した 15の傾軸式双晶名をギャラリー No.1007に紹介したが、以上見てきた通り、チフリス式(※シンデルA式に類似/傾軸が補角関係)を除く 13式までがシンデルによって記載されていた(仮説のシンデルA式を含めると14式)。フロンデルの 3つのグループ分けもシンデルのそれに倣っている。

以下参考までに Dana 7th の、日本式以外の 14形式についてのテキスト抄訳を示す。(ゾーンについての記述は私にはよく分かりませんが。)

『すべての形式は双晶した個体同士の座標系の a軸の極性と左右手によって分類することが出来る。これらの双晶のzonal relationの記述に用いる結晶面のシンボルはシンデルその他の著者らが傾軸式双晶に用いた定義に従う。

2.ツヴィッカウ式: 柱面同士がコプレーナー。柱軸傾斜 42°17'。 (一方の)「b1b2b3と ρ1b2r3」の面がなすゾーンと、(他方の) 「ρ1b2ρ3とb1b2b3」の面がなすゾーンとが、双晶において平行。原産地はザクセンのツヴィッカウ。スイスのゼードルフ、ディゼンティス、Finsteraarhorn にも産する。

3.ゴールドシュミット式: 柱面同士がコプレーナー。柱軸傾斜 47°43'。「r3b2ρ1とb2r2o」の面がなすゾーンと、「b2r2o とr1b2ρ3」 の面がなすゾーンとが双晶において平行。ピエモンテのブルッソン産、フランスのドーフィネ産(?)に報告。

4.ブライトハウプト式: 双晶面は (1121) 。双晶する個体群は二つのコプレーナーな柱面を持ち、柱軸傾斜 48°54'。「b1r2ρ3とb3r2ρ1」、及び 「b3ρ2r1と b1ρ2r3」のゾーンとが平行。ドーフィネと不明産地から報告。

5.フリーデルの直交式: 二つのコプレーナーな柱面、柱軸傾斜 90°。(44-81)面上 ρ45°39'回転の双晶とも表現可。合成水晶で観察される。天然にも一つの不明産地から報告、スイスに産するとも。

6.ライヘンシュタイン・グリーゼルンタール式: (1011)が双晶面。柱軸傾斜 76°26'。回転角180°。「b2r2o と b2r2o」,「b1r2ρ3と b1r2ρ3」,及び「b3r2ρ1とb3r2ρ1」のゾーンが平行。初期の例はザクセンのライヘンシュタイン産など、これらはのちに方解石の(0112)面で側面方向に接合した擬似双晶であることが示された。
その後スイスのグリーゼルンタールやゴッシェナーアルプ産のもので報告された。高温水晶のエステレル式双晶と同一式のもの。

7.セッラ式:双晶面 (1012) 回転角 86°4'。 柱軸傾斜 64°50'。面 「b3ρ3o」と「b1ρ4o」とが平行。最初にサルジニア産(?)で報告。この例が高温水晶か低温水晶か不明。ハンガリーのマルマロシュからも報告。高温石英のサルジニア式と同一式。

8.シンデルA式: {1011}の二つの菱面体面がコプレーナー。回転角 70°21'。 「b1r2ρ3とb2r2o」、及び「b2r2oとb3r2ρ1」のゾーンとが双晶において平行。スウェーデンのヘッセルクッラ産、ハンガリー産の2例。

9.チフリス Tiflis 式 (シンデルA) :(1011)の二つの菱面体面がコプレーナー。回転角 109°39'。「b3r2ρ1とb2r2o」、及び「b2r2oとb1r2ρ3」のゾーンとが双晶において平行。トランスコーカサスのチフリス(トビリシ)産。

10.チンワルド式: 各個体の一つの(1011)菱面体が他個体の柱面に平行、一つのセットが接触して、柱軸は(1120)面に沿って角度38°13'で接合。回転角 0°。ザクセンのチンワルドから報告、スイスのディゼンティス、ヴィアマラ、シャムスからも報告。スウェーデンのオフェルダル、フランスのドーフィネ、米国のトレントン・フォール、ノルウェイのスナルム、ハンガリー産。

11.レッチェンタール式:一つの(1011)菱面体が他個体の柱面に接触、回転角 47°43'。面「r3b2ρ1」と「oρ2b2」のゾーンとが双晶において平行。スイスのレッチェンタール、ディゼンティス、ゼードルフ産。

12.シンデルL式: 一つの(1011)菱面体が他個体の柱面に接触、回転角 70°21'。面「b2r2o」と「r1ρ2b3」のゾーンとが双晶において平行。スイスのゼードルフから1例。

13.ゼードルフ I 式: 一つの(1011)菱面体が他個体の柱面に接触、回転角 19°39'。面「b1b2b3」と 「b1ρ2r3」のゾーンとが双晶において平行。ゼードルフから1例。

14.ゼードルフ II 式: 一つの(1011)菱面体が他個体の柱面に接触、回転角 90°。面「b1b2b3」と「oρ2b2」のゾーンとが双晶において平行。ゼードルフから1例。

15.ディゼンティス式: 各個体の一つの(1011)菱面体が、他個体の柱面に平行で、一つのセットが接触。回転角 22°38'。面「r1b2ρ3」と「r1ρ2b3」のゾーンとが平行。スイスのディゼンティスから1例』

◆ Dana 7th の記述は結晶学の知識に乏しい者には難解で、それぞれの双晶式のイメージを掴むことが難しい。

幸いインターネット上には、現在のところ、「鉱物の友フォーラム(FMF: Friends of Minerals Forum)」において、 "Rarest quartz twins with inclined axes C"(もっとも珍しい水晶の双晶、C軸の傾斜したもの)という掲示板がアクティブで、ここに Reef というハンドルネームの方が、各形式の双晶の特徴と結晶図、そして実例標本の画像とを掲示しておられる。
興味のある方は検索して、ご覧になられたし。

Reef 氏もまた Dana 7th の記述に接して当初は天を仰がれた方だそう。勉強を重ねて、それぞれのイメージ図を描画されるまでになられた由。上記の形式のほとんどが示されており、また独自に研究されているらしい、「ウラル式」の情報も載せておられる。

ちなみに以下の図は、 Reef 氏の結晶図を下敷きに spsが若干の編集を加えたものになる。こちらも参考まで(オリジナル情報としては Reef 氏の作図に直接当たっていただきたい)。



⇒ 一番下の画像のフルサイズ画像へ

(続き) その4 (J.Drugman の報文に記された高温水晶の傾軸式双晶について


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