ひま話 ヨアネウム6 西欧  (2014.7.18)


当然ながら、ドイツをはじめ西ヨーロッパの鉱物標本も相当に充実している。

ザクセン地方ゲルスドルフ産の蛍石。 Fluszspat かあ…と、わけもなく嬉しくなる。
蜂蜜色だから、いわゆるホーニッヒ・シュパートの一種だろう  cf. No.509
ゲルスドルフはザクセン・フライベルク地域の歴史的な鉱山町のひとつ。この地域の開発は1162年にフライベルクで銀が見つかったことに始まった。(cf.ランメルスベルク2

Honigstein。 和名は蜜ろう石またはメリー石。これもまた蜂蜜色が語源の石だが、今日こんなきれいな黄色の本鉱はめったにお眼にかかれない。 チューリンゲン州アルターン産。

ヨルダンスミュール産の軟玉。標識にプロイセン領シュレージエンとあるが、現在はポーランドのシレジア地方。20世紀初のクンツ博士の著書にこの地方の軟玉について言及があるが、今日の市場では入手困難。cf. No.912

各地の軟玉 左からチャミル産(ハミ瓜で有名なシルクロード都市ハミ。現中国クルム)、ニュージーランド産、ポーランド産(ひとつ上の拡大画像のもの)

ドイツの名品サニジン(玻璃長石…といっても透明感はない) ドラシェンフェルス・アム・ライン産 自形結晶は正長石にそっくりで、語源通りの「板」状。

シュトルベルクの菱鉄鉱。 ここも歴史的な鉱山地域だった。
AD1000年頃に遡る古い町で、ハルツに鉱山が開かれ、鉄、銅、金、錫、銀が採掘されるようになって出来た鉱夫町のひとつ。付近の鉱山は8C末にはすで採掘されていた形跡があるという。1300年に帝国都市となり、鉱業収入を財源として発展を続けた。最盛期は16C頃で、当時の面影を残した木組みの家が多く残る。シュトルベルクの語源は、シュトーレン(鉱山の坑道/トンネル)のベルク(丘)。

ヴェローナ緑土と呼ばれたセラドン石 cf.No.614

サンチアゴ・デ・コンポステーラの鉄水晶 cf.No.552  ヘオミネロ2 大英博物館2

廃墟の絵石。フィレンツェの「崩壊した大理石」。カイヨワ著「石が書く」の世界である。cf.No.177

イタリア産のアウイン(藍方石) アウイン好き。

藍銅鉱 フランスのシェシー産で、シェシーライト(和名だとチェシーライト)呼ばれた。緑色の孔雀石の上に載った青色の見事な結晶。ちなみに岩絵の具に用いられた岩群青は本鉱で、孔雀石を伴うことが多いために分離が難しく、非常に高価で取引きされる。cf.No.74

砂漠の薔薇 産地、確かめてなかった…

右、硬石膏のX線回折像。

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