ひま話 ウィーン自然史博物館 その2 (2018.6.24)


スカンジナビア半島の希土類元素鉱物標本など

 

ガドリン石 スウェーデン、イッテルビー産  1787年頃、C.C.アレニウスが発見し、1793年頃
ガドリンがイットリアを発見した鉱物。希土類元素(イットリア族)の歴史はこの石から始まった。
cf. No. 826, No. 830

ガドリン石 スウェーデン、ファールン産 スウェーデンを代表する銅山
ファールンの周辺でもさまざまな希産鉱物が見つかっている。
cf. ファールンの大銅山

イットロタンタル石 イッテルビー産。イッテルビーは希土類元素、希土類鉱物のメッカのひとつとして
歴史に名を刻んでいる。 イットロタンタル石はイッテルビーで発見され、1802年頃エーケベリはこの鉱物から
新元素タンタルを見出した。
ガドリン石と見かけがどう違うのか、私にはよく分からない。

テンゲライト(ガドリン石?の表面に付着した淡白緑色の鉱物) イッテルビー産。 
テンゲライトは二次鉱物で、イットリウムの水和炭酸塩とされるが、
イッテルビー(原記載産地)のものは(後に定義された)ロッカ石とみられており、独立種かどうかよく分からない。
cf. No.830

 

セル石 リッダーヒュッタン産 (1803年頃)、ヒーシンゲルとベルセリウスとがセリウムを発見した鉱物。
希土類元素(セリウム族)の歴史の始まり。
cf. No. 827, No.828

エウカイライト スクリケルム産 (1818年頃)、ベルセリウスがセレンを発見した鉱物
標本上部の方解石中の暗色鉱物は多分、ベルセリウス鉱と思われる。
cf. No. 738

トール石 ノルウェー、アレンダル産  1828年頃、ベルセリウスがトリウムを発見した鉱物。
(原産地は同国レーヴェ島(ローブン島))  cf. No. 823

ヒシンゲル石 スウェーデン、リッダーヒュッタン産  19世紀の大化学者ベルセリウスを
支えたパトロン化学者、W.ヒーシンゲル(ヒージンガー)に献名された鉱物。鉄の水和水酸珪酸塩。
cf. No. 835

モサンドル石  ノルウェー、 Brevig 産  1839年、セリアやイットリアに隠れていた未知の元素、
ランタン、ジジミア(ネオジムとプラセオジムの混合物)、エルビア、テルビアなどを分離した化学者
C.G.ムーサンデル(ベルセリウスの後継者のひとり)に献名された鉱物。 ランタンを含む。 
cf. No. 832

ユークセン石  ノルウェー、Kragero産  ガドリン石類似の鉱物として分析され、L.F.ニルソンが
未知のパターンの輝線スペクトルを識別し、エカ・ボロン(スカンジウム)を発見した鉱物(1879年)。

フェルグソン石 ノルウェー、satersdalen 産。
希土類(ランタノイド)、放射性元素(アクチノイド)、ニオブ/タンタルの間を
結ぶ鉱物。トンガリ頭が目印。

サマルスキー石 ロシア、ミアースク産。 1879年頃、ボア・ボードランが
サマリウムを抽出したガドリン石類似の鉱物。

 

欧州圏の標本から  世界の美麗標本から  ウラル産の孔雀石標本


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