ウィーン自然史博物館の標本 (世界各地の美麗標本から)


「システマティック(系統的)・コレクション」といっても博物館のそれは、
日本の一般コレクターの「エステティック(美麗)・コレクション」レベルを
遥かに凌駕するものであるわけで。

こういうものは後世に残す価値がもちろんありましょう。
と同時に、その値打ちをひしひしと感じ取ることが出来るのは、
意外と我々のような(辺境の)平凡なコレクターであるような気もします。

宝石細工のブーケ この豪華さはヨーロッパ的
女帝マリア・テレジアが夫フランツの誕生日に
贈ったものだとか。

蛇紋岩を彫ったトカゲ なんかぴったしの感じ。
鉱物世界(地下世界)の精の化身が、ヘビやトカゲであるのは
それなりにゆえあることだと思います。(山のあねさま)

ダイヤモンド −南アフリカ、バルトフォンテン坑産。  
有名な古典的パイプから出た歴史的標本と思います。
(今日の南ア産標本は、キンバレー石にダイヤのカケラを後から接着したものが
大半と言いますが、これはたぶん自然のまま)
cf. No.111

方解石 −フロリダ、レカント産。
パラボラアンテナみたいな不思議な造形です。

ほたる石 −ナミビア、エロンゴ産。
この産地の蛍石は緑色に深みがあって、いつ見ても素晴らしいです。
(値段も比較的にリーズナブルですしね)
cf. FG-33

ほたる石 −ペルー、ワンサーラ産。
フランス/スイスに次ぐ、ピンク蛍の産地。
ここのものはコアにしばしば緑色ゾーンを持っていることがあり、
その教科書的な標本かと思います。
cf. FG-29、 No.59

ほたる石 −パキスタン、ナガール産。
ピンク蛍の第三産地。淡色のものが多いですが、これはなかなか濃くてよい。

カーレトン石 −モン・サン・チラール産。
これほど美しい希産鉱物結晶も珍しいと思います。
cf.No.802

ユークレース  −ローデシア、マイアミ産(ジンバブエ、ムアミ産)。
希産鉱物とは思えないリッチな感じ。なぜ青くなるのかな。
cf. No.549

硫酸鉛鉱 −サルジニア島、モンテヴェッキオ産。
古典的標本として知られるもののひとつ。淡緑色のものはそれなりに市場で
見かけることがありますが、濃い「ボトルグリーン」の標本は貴重です。

ヒデナイト −ノースカロライナ産。
これも「ボトルグリーン」の超級ヒッデナイト。市場にはナイ。

ひすい輝石 −トルコ、アナトリア産。
当初、不明の石英鉱物とみられていましたが、
ヒスイが混じっているということで、ちょっとびっくりの石。
そういえばギリシャにもこの頃ヒスイ輝石の標本が出てますね。
cf. No.93   No.919

軟玉 −糸魚川産。  
ヒスイでなく軟玉の方が世界には知られているのでしょうか。
cf. No.277

輝安鉱 −市ノ川産。
日本産としてはお約束の標本でしょうか。ただし歴史の古い博物館限定。

  

トラピッチェ水晶   −ノルウェー、 Bamle産。
じっと見ると 6条の星形放射模様(トラピッチェ)は隠れもない。

ロードクロサイト −アルゼンチン、カピリタス産。
 この頃ではこれだけ見事なものは市場に出なくて、
もはや古典標本になった観があります。
cf. No.53

スピネル −パミール、 garon産。
 スピネルもこの頃は赤色(ルビー色)のほかに青色やら紫色やらが出て、
やっぱりルビー(コランダム)に似ているよなあと思います。

 

スカンジナビア半島の希土類鉱物   欧州圏の標本から   ウラル産の孔雀石標本

 


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